第10回 コスメ川柳「コスメのニューノーマル~おうちとマスクとオンライン~」受賞作品発表!

記念すべき第10回コスメ川柳のテーマは「コスメのニューノーマル~おうちとマスクとオンライン」。
新しい生活環境と対面している昨今におけるコスメ事情を詠んだ作品の応募総数は過去最高の1,033句にも及びました。
たくさんのご投稿、誠にありがとうございました! 川柳作家のやすみりえ先生を審査員にお招きし、プロの目線から審査を行っていただきました。 受賞作品の発表と併せて、やすみ先生からの各作品への講評と、特別インタビューをご覧ください!
※受賞者の皆様には個別にメールをお送りいたします。

最優秀賞

1選

再会を	夢見て今日も スキンケア

やすみ先生による講評生活の中にマスクが欠かせなくなり、みなさんお肌のコンディションをすごく心配してらして、スキンケアについて詠まれた川柳が多かったんです。
「再会を夢見て」というのは、この1年を過ごしてきた私達にものすごく響く言葉。遠く離れた人はもちろんのこと、いつもなら気軽に会えていた人ともなかなか直接会えなくなったので、この「再会」という言葉に心を動かされました。そして「今日も」ということは、ここしばらくの間、生活の中で自分のできることを無理なく取り入れているような感じもありますよね。
これがもしコロナ禍でなければ、この句を読んだときにどう感じるでしょう。ちょっと懐かしい誰かとか、昔の恋人とか、ピンポイントでもう一度会ってみたい人が浮かぶと思うんですけれども、今の私達になるとそれがガラッと変わるんですよね。そのあたりからも、今のこのコロナ禍の一句と思って読めます。これまでとは違う味わいの句であり、早く日常が戻ってきてほしいという素直な気持ちに持っていくことができますね。
言葉一つ一つとその並びの良さが相まって、完成度の高い作品だと感じましたので、最優秀賞に選ばせてもらいました。

優秀賞

3選

フルメイク わずらわしくて 恋しくて

ツナカーン 様

やすみ先生:とてもよくわかります。『面倒くさいな』『ちょっと手抜きしたいな』と思うことがあったにもかかわらず、逆にあれもこれも”やらなくていい”という状況になってしまったら、何か恋しい感じになるんですよね。一生懸命ていねいに描いていた眉、しっかりと塗っていたリップって、どうだっただろう…みたいな感じで。
こういうのってコスメ川柳に限らず、日常を詠んだ川柳でもあるんです。例えば、満員電車がわずらわしかったっけ…とか、行列に並んでまで何かしたのが今は恋しい、と。そのときはすごく嫌だな、面倒くさいなって思っていたことが、懐かしい、恋しいというのがよく詠まれていて、『この”あるある”は選ばないといけない』と思わせる一句でした。

マスクにも ノーメイクにも 飽き飽きて

ルル 様

やすみ先生:こちらも同じ”あるある”なんですよね。もしかしたら最初は、マスクって便利、ノーメイクでも顔が隠れていいやと思ったかもしれないけれど、それがずっと続くとやっぱり何か物足りない。
この句の面白いところは、その言葉選びの良さ。最後の下五の「飽き飽きて」というところに何か本音が見えるような気がしました。

メイクにも 時短・自粛を 導入し

かびごん 様

やすみ先生:この句のポイントは、「時短・自粛」の他にないですよね(笑)。嫌というほど目にして耳にしているフレーズですけれども、それをメイクにも「時短」「自粛」だと感じるということに、この言葉が私達にとっていかに身近なものかというのを改めて思い知らされました。
さらに「導入し」ということは、今までやってきたものを『この際ちょっと時短してみよう』とか『今日はメイクをお休みしようかな』と自分で選んでやっているという、コロナ禍での生活が垣間見えました。さぼっている意識を、『導入だから、”あえて”です』とポジティブな感じにもっていくところに、センスがあると思いました。

入賞

5選

定時です パソコンメイク 秒でオフ

羊毛めり子 様

やすみ先生:今回のテーマの一つである「オンライン」が上手に表現されています。
普段オフィスに通っていると、定時だからといって急にメイクオフはできないけれど、リモートで仕事をしているからこそ『メイクを秒でオフ』、この句からその情景が浮かびました。アナログではなく、デジタルの世界だからこその句だと思います。

口紅を 自由にひける その日まで

うおすけ 様

やすみ先生:これは最優秀賞の句と通じるものがあって、最初からとても印象に残った一句でした。
口紅、ルージュに絞って、それをポイントに持っていった作品。早く日常に戻ってほしいと願う気持ちを、口紅一つでも伝えることができるんですよね。言葉選びも非常に上品で、「紅をひく」という表現がとても美しい。素敵な言葉選びによって完成した一句です。

テレワーク 個室と保湿 欠かせない

エミテン 様

やすみ先生:「個室」と「保湿」という言葉のリズムを楽しく取り入れて韻を踏んだ感じの一句で、他の作品にはない雰囲気やセンスが腕の見せどころだったと思います。
テレワークには狭いスペースでもいいから、それができる環境がないと落ち着かないですよね。そこに「保湿 欠かせない」ということで、『仕事しながら美容もやる』というテレワークでの自分のルーティンを見つけていらっしゃるんだと思うんです。テレワークしているみなさんも、思い当たることがあるのではないでしょうか。

なんか今日 先輩目だけ 密ですね

ちいこ 様

やすみ先生:この句にはポイントになる部分がいくつもあります。まず、後半で「密ですね」と先輩に突っ込んでいる状況がちょっと笑えますよね。
そして「目だけ密」。マスクをしていると目元に気が行きますし、そういう感じが上手に出ていると思います。アイシャドウをしっかりと塗って、まつげもバッチリ…、どういうメイクか想像するのも面白いですよね。
お喋り言葉で飾らない感じも、いいなと思いました。

せめてもと 口紅色の マスク買い

チャット大好き 様

やすみ先生:実は、口紅とマスクの組み合わせの句はとても多く、マスクをしているから口紅をつけないとか、マスクにつかない口紅という目線の方が多かったんです。その中で、マスクそのものを口紅色に…という切り口がとても素敵だと思いました。
また上五の「せめてもと」で、今のいろんなことを諦めなきゃいけない中でも、せめてこれだけは…ということが伝わり、心をつかまれました。

応募作品にみられた傾向やご自身のコロナ禍でのコスメ事情など、
貴重なお話をたくさんうかがってまいりました!

すべてがコロナ禍で生まれた作品
今の私達の等身大の日々の思いをつぶさに感じた

――今回で第10回を迎えた「コスメ川柳」。多くの方にご応募いただき、大盛況となりました。お題はコスメのニューノーマル「~おうちとマスクとオンライン~」と、この1年あまりの体験を綴っていただきましたが、やすみ先生は句との向き合い方で変わったことはありますか。

やすみ先生:句を詠むことに関しては非常にマイペースにやってきたので、その感覚はあまり変わらないですね。でもみなさんと集まって一緒に川柳を楽しむことができなかったので、寂しい気持ちになりました。

――みなさんとの句会は、どのようなスタイルで行われるんですか。

やすみ先生:例えば、前もってお題を決めて作った句を持ち寄り、誰が作ったかわからないよう無記名で出していただきます。それをその場で発表して、みんなで点数をつけたりして、その日一番点数を集めた人が優勝といった、プチ川柳大会みたいな形が割と定番ですね。
川柳は「座の文芸」とも言われ、みなさんとひととき顔を合わせて詠む。そういう中で、喜びや『もっと腕を磨こう』という気持ちが生まれるんです。これまではそういうことが自然にできていたんだな、と振り返る1年でもありました。

やすみ先生写真その1

――それができない中で、先生が新しく始めたことはありますか。

やすみ先生:いつかまた集まって会ができる時まで、みなさんに自分の作品を発表する楽しみを忘れず、川柳から離れて欲しくないという思いもあって、Instagramを始めました。自分のその時々の姿や見たものを写真に収めて、それに句を合わせて発信する形でお見せしようかなと思いまして。

――やってみていかがですか。

やすみ先生:実はこれ、けっこう性格が出るんだなと思いました(笑)。ひとつだけ心がけているのが、写真そのものズバリの句にはしないーーお花の写真だからお花の句というのではなく、ちょっと広がりを持たせる感じで作ること。
SNSでは写真と言葉で発信してらっしゃる方も多いので、そういう作品がたくさん載っているInstagramやホームページも見るようになり、世界が広がりました。

――今回の「コスメ川柳」のお題は、 コスメのニューノーマル「~おうちとマスクとオンライン~」でしたが、みなさんの投稿作品からはどんな傾向、気持ちが見えてきましたか。

やすみ先生:すべてがコロナ禍で生まれた作品なので、今の私達の等身大の日々の思いをつぶさに感じ取ることができました。
そんな中でも、「コスメ川柳」はコスメを絡めた作品なので、前向きだったり綺麗になりたいという楽しい気持ちがどこかに散りばめられたものが多かったと思います。応募者のみなさんが、今の自分の姿を上手に捉えて表現されていました。

今がどういう状況であっても
心の中にいつも素敵な色合いを持って生活を

――今回も、バリエーション豊かな作品が揃いました。先生には前回、「公募コンテストでは時代の感覚を取り入れると高得点の可能性が大きい」と入賞の秘訣をうかがいましたが、今回は『コスメのニューノーマル「~おうちとマスクとオンライン~」』と、お題そのものが時代を表しているので難しかったのではないでしょうか。

やすみ先生写真その2

やすみ先生:それがみなさん、トゥーマッチにならずポイントを一つ二つぐらいに絞って十七音の中に入れていて、特に入賞した九句は本当に秀逸だと感じました。
キーワードがたくさん浮かんでも、使うのは一つぐらいにしておこうと思うくらいがちょうどいいんです。いろいろと入れたいと思っても、五七五に全部取り入れるのではなく、一句にひとつ入れて作っていく。そうすると読んでくれた人にも理解しやすく、伝えたい場面をストレートに受け止めてもらえます。

――先生の「コスメのニューノーマル」は何でしょうか。

やすみ先生:まずは、マスクにつかない口紅。最初は海外ブランドのものをプレゼントでいただいたんですが、コスメもちゃんと素早く時代に反応していて頼もしいなと思いました。
それからおうちでゆっくりする時間が増えたので、週に1、2回使っていたシートマスクを、気づいたらほぼ毎日の頻度で使うようになりましたね(笑)。今日は潤いたっぷりのにしようとか、美白のものにしようとか、いろんなものを試しています。
忙しく過ごしていた時にやりたかったことが、時間に余裕ができてちょこちょこ叶っていますね。

やすみ先生写真その3

――今日も素敵なお着物ですが、メイクのポイントは。

やすみ先生:お着物のときは、口元を明るい色にするのを心がけています。お洋服と比べて和装の時は年齢がやや上に見えることもあるので、沈んだトーンよりちょっと明るめのものがいいと思います。
逆に、お洋服の時のポイントはやっぱり目力。しっかりとまつ毛とまつ毛の間を埋めるようなラインを入れるのは欠かせません。

――アイビューティーストアーではロゴが新しくなり、 コンセプトも新たに「いつも一緒に、コスメファン」となりました。先生は、コスメのどんなところに楽しさや面白さを感じますか。

やすみ先生:コスメの情報はあらゆる媒体から何でも手に入る便利な時代。動画で紹介されたりすると、使い方とかもよく分かって「なるほどね!」とか言いながらそれらを楽しく見ています(笑)。コスメの情報のアンテナを広げると、時代の感覚も敏感につかめてとても面白いと感じています。私の場合はそれが川柳づくりのヒントに繋がりそう。

――最後に、やすみ先生が詠む「コスメのニューノーマル」をお願いします。

やすみ先生写真その4

新しい 私の映える 彩(いろ)がある

今回のお題「~おうちとマスクとオンライン~」、のテイストもうまく入れて作れたらと思って詠んだ句です。 「新しい」というところでニューノーマルを感じていただき、ガラッと変わってしまった生活を代弁するような言葉として『新しい私』がみなさんに響いたらいいなと思います。
そして「映える」は、 SNS”映え”なんていいますから、そんなオンラインの言葉を入れました。「映る」に「新しい私」という感覚ものせて…。
そして、今がどういう状況であっても心の中にいつも素敵な色合いを持って生活を送っていきたいな、と。「彩(いろどり)」にコスメやかわいいマスクなど身近なものをイメージしてもらっても良いでしょう。みなさんそれぞれにこの句を味わっていただけると嬉しいです。

川柳作家 やすみりえ

川柳作家やすみ りえ 先生

兵庫県神戸市出身。大学卒業後、本格的に川柳の道へ。 恋を詠んだ川柳が幅広い世代から人気を得る。 現在多数の公募川柳の選・監修のほか、さまざまなコンテストの審査員も務めている。 また、各地での川柳ワークショップや講演活動をとおして、日本語の魅力や言葉を紡ぐ楽しさを伝えている。 (一社)全日本川柳協会会員。兵庫県宝塚市大使。高知県観光特使。 著書に句集「召しませ、川柳」(新葉館出版)や「俳句・川柳・短歌の教科書」(土屋書店)他。
やすみりえ先生 Instagramはこちら

連動企画

【連動のパンダ募金は累計85万円に!】
SAVE the PANDA ジャイアントパンダ保護サポート基金」への寄付を今回も実施いたします!
川柳の投稿件数に200円をかけた「206,600円‬」を基金に寄付いたします。 寄付については7月の中旬頃を予定しており、その様子をスタッフブログでご報告いたします。
https://blog.ibeautystore.com/archives/12641

公益財団法人東京動物園協会が運営している「ジャイアントパンダ保護サポート基金」(http://www.ueno-panda.jp/support/)は
上野動物園をはじめとするジャイアントパンダの飼育施設での飼育環境の向上や保護活動に役立てられます。

キャラクター紹介

キャラクター紹介

■まだ名前の無い猫

2021年4月、アイビューティーストアーは新たなロゴマークと共にスタートしました。
ロゴにはわがままに美しく、愛くるしい象徴としてねこのキャラクターをあしらいました。
(名前は今のところ、まだありません。)

やすみ先生写真その5

やすみ先生にもロゴリニューアル記念の扇子をプレゼントしました!

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